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  • 執筆者の写真qoonwasedanew

LGBTを「理解したつもり」で終わってほしくない 「WASEDA LGBT ALLY WEEK」インタビュー①

早稲田リンクスさんにインタビューしていただきました!


 

近年世界的に浸透した、LGBTという言葉。日本でもレインボー・ウィークが大々的に取り上げるようになり、ジェンダーやセクシュアリティについての意識が高まってきた。ここ早稲田大学でもジェンダーに関する授業が増えてきた。

しかし授業を受けてジェンダーやセクシュアリティについていくら理解したつもりでも、実際にどのようにLGBTの当事者を支援すればいいかわからないという人も多いだろう。

なかなか身近に考える機会が少ない問題を取り上げてイベントを行う団体が早稲田大学の公認イベント企画サークル「qoon」である。

「qoon」は2016年より「WASEDA LGBT ALLY WEEK」という企画を7月に開催。早稲田の学生に向けてジェンダー/セクシュアリティの問題を考えるきっかけを増やす活動を行っている。

今回のWASEDA LGBT ALLY WEEKの企画代表、春藤優(しゅうどうゆう)さんにインタビューを行った。





(プロフィール)

qoon(クーン)

「マジメなことをオモシロく」をモットーに活動する早稲田大学公認の企画サークル。

敬遠されがちな社会問題をエンターテイメント性を持ったイベントによって、社会に発信している。



qoonさんは3年前からLGBTについて考えるイベントをやっているとお聞きしました。どのようなことを目的としてこのようなイベントを開催しているのでしょうか。


セクシャルマイノリティの学生がもっと大学生活を過ごしやすい環境になって欲しいという想いからスタートしています。このアライウィークによって、周りに「Ally(アライ)」と呼ばれるLGBTの理解者とか支援者を増やしたり、そのことを示したりすることを目的としています。LGBTの当事者である学生が「周りにこんなに仲間がいるんだ」とか「支援があるんだ」という、こうちょっと過ごしやすくなって欲しいということは、初開催の時から変わっていません。

昨年は「共感の先にある尊重」をテーマに据えてイベントを行いました。LGBTの当事者だけでなく「男だから甘えちゃいけないと」か、「女の子らしくしなさい」みたいなことを誰しも言われると思うんですね。「男らしさ/女らしさ」という価値観の押し付けで、生きづらさを生まれるとおもうんです。だから、みんなが抱えている生きづらさをなくすためには、「相手のことを尊重することや、ちゃんと話に耳を傾けるってことが大事だよね」ということをメッセージに据えていました。


3年目の今年は、どのような取り組みをされているのでしょうか。


今年は、「ALLYになりたいけど、実際にどういうことをすればいいの?」という人に向けて本を紹介したり、知識を深めるためのイベントを行う予定です。正確な知識を身につけることで、知らず知らずに偏見がある、差別しているという事に気づくっていうことができると思うんです。

大学内のジェンダーについての本を紹介したりすることがその一つで、興味を持ってくださった方々に投げかけをしているっていうのが、昨年までと違うところです。毎年続けていくことで無関心な人にも、関心がある人にも何かが刺さればいいなと思っています。

7月6日にトークショーもやるのですが、そのテーマをいわゆる「ホモネタ」に置いています。飲み会とかで男2人で仲良さそうだとすぐ「ホモかよ」と言うことがあるじゃないですか。そう言ってしまうことは差別意識があるんじゃないか?ということを考えていきます。それこそ面白いと思うからやっている人がいるし、結構無意識的に言う人もいる。なんなら「こんなことも言えないんじゃ息苦しいよ」と思う人もいるかもしれませんよね。だからホモネタを「いい/悪い」と断罪するわけじゃなくて、どうすれば良くなるかを考えて欲しいです。


LGBTの問題は最近に社会的にもちゃんと取り上げられるようになりました。どうしたら理解できたり正しい知識を身につけられるんだろうということを考えている学生は増えていますよね。


理解しましょうってことが、すごく独善的になりかねないってこととかも、勉強すると見えてくることもあると思っていて。理解はできないんだけど、お互い違うもの同士が共存していくってことは、尊重のし合いとかそういうことが必要なんです。みんなが正しい知識をつけることは、傷つけないこととか、生きやすくなっていくためのひとつの手段になると思っています。


なかなか早稲田で、このような社会的な取り組みをされている企画サークルは今少ないですよね。


そうですね。私たちもLGBTに関する取り組みを進んでやる人がそこら中にいっぱいいるんだったら、その人たちに任せてもいいかなという気持ちにもなるんですけど、まだ少なくて。早稲田広告研究会さんがやっていたりとか、早稲田リンクスさんがインタビューで取り上げていただいたりとか確かに変わりつつあるのですがそれでも足りないんで。怖いけどやらなくてはいけないという意思があるからやっています。

こういうイベントをやっていて思うのが、やっぱりジェンダーやセクシュアリティについてのことはセンシティブな問題なんです。人に何かを主張するっていうことは、不特定多数を傷つける可能性があることで、できれば他の人がやって欲しいってところも少なからずはあります。LGBTの当事者の中でも向いている方向が違う人はいて「別に世の中の人に理解されなくて偏見はあるけど、別に仲間内だけで楽しくやってるからことを荒立てないでくれ」という声もあったりするんです。あるいは「みんな違ってみんないいよね」みたいな言いかたをすると、「そんなふわふわした教育テレビみたいなこと言いたいんじゃなくて、実際に偏見があることに困っているし、深刻な人権侵害もあるのにどうしてそういう言い方になるんだ!」とか、本当にいろんなご意見があるんです。でも全てに対応するような言葉遣いっていうのはやっぱりできないところがあって、それでもなお私もやっぱりこういうイベントをやらなければいけないと思います。多くのこの問題について意識していない人に知ってほしいし、知ってもらわないと何も始まらないんですね。


このようなイベントがきっかけでしっかり知識をつけようという学生が増えたらいいなと、お話を聞いていて思いました。


本当にそうだと思います。誰しも自分に偏見があることを気づくのが難しいと思っていて。やっぱりみんな自分のことをいい人だと思いたいというか、「差別主義者じゃないし!」という人が大体で、意識的に何かすごく嫌っているとかいう人ってやっぱりそんなに多くはないんです。でもある一つのことが普通とされている社会で育ってくると、知らず知らずに偏見を持っていることもあるはずなんです。

差別してないと思いながらしている発言が、不意に傷つけてしまうということは往々にしてあります。例えば、その言葉に傷ついた人とかが、「それってすごく良くないよね」っていった時に、「いやでも差別するつもりじゃなかったし」とか「偏見ないし、許して」みたいになるんですけど、多分大体の人を傷つける発言っていうのが不意に放ってしまう言葉なんですね。でも、その時に「あ、ごめんそれは私が意識してなかったけど、そういう自分の中にある偏見からきたものだった」って思えることが大切なんですね。誰しも失敗はするし、人を傷つけないで生きてゆくことは無理なんですけど、もし不意に発言した言葉で自分が差別することがあるっていうのを知っていると、全然違うんじゃないかなって思っています。


(取材・構成 吉田ボブ/文 平内茉里/撮影 小野塚亮)


 

早稲田リンクスさんは フリーペーパー制作、webメディアの運営、トークイベントやライブイベントなどの企画・運営 をされています。

Twitter  https://twitter.com/wasedalinks

「WASEDA LINKS Vol.36 選ぶ」の電子版がコチラから読めます。

https://www.catapoke.com/viewer/?open=bb53b&lang=ja

幣サークルqoonのOBで特定非営利活動法人ReBitの代表理事を務めていらっしゃる薬師実芳さんのインタビューも載ってます。要チェック!

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